理想の学び!?
高校球児だった時分、初めてグローブをオーダーした時は、完成は未だかとそれは楽しみにしていたものである。
手が小さいこと、そして何よりも、自分で決めなくては気が済まない性格と、オーダーメードグラブは相性が良かった。
さて、教育界でも「あなただけのオーダーメードカリキュラム」といった言葉は、決して真新しいものではない、
そして、「学び」という観点から考えれば、これはもっとも本質的で効果的だと思う。
しかし、前提を考えてみる必要がある。
受験生は、通常勉強する、なぜなら不合格になりたくないからだ、という法則は、本当に普遍の原則と言えるのか。
理由は色々あるとして、、、
受験生は、(特に学年が低いほど)ときに
合理的受験生ではなくなる。
せっかくのオーダーメードカリキュラムも、履践しなければ、画餅に帰すことになる。
このように考えれば、カリキュラムの構成は本来、「履践」が担保されることに重きを置く必要があるのである。
気分の波や反抗期、このきわめて主観的且つ、個人的な事情を乗り越えるには、集団の力を借りる方が効果的である。
殊に、女子の場合には、社会的能力が高い。集団性をシステムに取り込むことで、結果として履践が担保されやすい環境が作られていく。
集団性は、規律と協調を生み、結果として構成員たる個を強くしていく。
さて、話をオーダーメードカリキュラムに戻して考えてみたい。
「あなたに合った」カリキュラムという言葉の前にはどのような言葉が入るだろうか。
当然、入るべき言葉は「合格のために」である。
では、なぜここでこのような問題提起をしたかと言えば、意外にもそうなっていないことが少なくないからである。
「合格」と「現状」に一定程度の乖離がある場合には、引き上げるための「オーダーメードカリキュラム」になる必要がある。そして、これは当然ながら、一定程度の困難を伴う確率が高い。
そう、「あなたのためのオーダーメードカリキュラム」は、他者のできに依存しない以上、一定程度の困難を伴うのである。
決して“ラク”なものではない。
“ラク”なのは、「不合格者ペースの今のあなたに合った」オーダーメードカリキュラムである。
この時期になると、いつもこんなことを感じてしまう。
「あなたに合わせる」よりも、「あなたが合わせる」方が、人間が社会的な生き物である以上、
求められる能力ではないだろうか。